ウサギとカメとインコとetc……
動物を飼うのは、情操教育に良いらしい。上原家を例に挙げると、動物を飼っても心は豊かにならないっぽい。
私は1歳くらいの頃から犬と一緒に育った。うちのワンコは、私の弟が気に入らなかったらしく、生後数週間の弟にガルルルしたため親戚がワンコを引き取ることになった。
時は流れ、私が小学生になってから、頭にハートマークがある雑種の犬を飼った。りゅうわん(犬)は、私の親友だったと思う。学校に行きたくないとか、ひとは何のために生まれてきたんだろうとか、妖精と幽霊は似たような類の存在なのかとか、親に叱られてイヤな気持ちだとか、何でもりゅうわんに話していた。
そして、どんどん動物が増えていった。
ウサギのラービとゴール、アヒルのアーヒー、インコのインちゃんとグーミーとその他インコ数匹、ゴールデンハムスターのはむちゅう、陸ガメのカメ太、ミドリガメのだれ?、弟のハムスターが繁殖して何匹いたのか不明、保護した捨て犬が1匹……。もちろん、りゅうわんもいる。
週末は、パパとママと弟と捨て犬の里親探しに励んだ。動物たちの世話だけで週末が終わる日々を過ごしてきた。
しかし残念なことに、私も弟も中学生でタバコを吸い始めたし、家に帰らなくなるし、情操教育は失敗に終わったのかもしれない。
もしかすると、そもそも情操教育なんて考えていなかったのかも。いや、ママは考えていただろうが、パパは……ただの動物好きだ。
唯一、ミニミニ動物園的な環境で育って良かったと思えるのは、赤ちゃんに対して、あまりイラつかなかったこと。
犬が吠える、インコのひとり言、ウサギの足音が聞こえる日常を送っていたら、赤ちゃんのか弱い泣き声なんて可愛いものだよ。
ウサギに噛まれるより、子供に噛まれる方が痛くないしね。
たぶん、動物を飼う効果って……。
心が豊かになるのではなくて、ある意味で鈍感になるんじゃないかな。
と、思った。